概要
Ruby on rails 5.1.0にて、簡易的な電子掲示板サービスの開発を行う。電子掲示板サービスの概要は以降の設計の通り。
なお、本記事ではRuby on Railsに関する基本的な説明は割愛しているが、チュートリアル形式になっているので、railsの経験がない人が雰囲気で何か掴めれば程度の内容になっている。
前提
以下の環境で開発、動作確認を行う
要素 | バージョン |
---|---|
Ubuntu | 16.04.2 |
Ruby | 2.4.1 |
Ruby on Rails | 5.1.0 |
mySQL | 14.14 |
また、上記環境はDockerで構築したコンテナで、環境構築についてはコチラを参照
設計
電子掲示板の概念
- 電子掲示板には0個以上のトピックが存在する
- トピックにはタイトルが存在する
- トピックには0個以上の書き込みが存在し、全ての書き込みは一つのトピックに属する
- 書き込みには投稿者名と本文が存在する
画面イメージ
- ユーザはトップページにアクセスすると、トピック一覧を確認することができる
- トピック一覧画面の末尾には、新規トピック投稿フォームが存在し、新規投稿を行うことができる
- 各トピックごとに、「削除」リンクが付与されており、それをクリックするとトピックを削除することができる
- トピック削除時に、トピックに紐付いた書き込みもあわせて削除する
- ユーザはトピック名をクリックすることで、そのトピックの書き込み一覧を確認することができる
- トピックの書き込み一覧画面の末尾には、新規投稿のフォームが存在し、新規投稿を行うことができる
データベーススキーマ
実装
実装(準備編)
rails newコマンドで、railsアプリケーションの雛形を作成することができる。ここでは、使用するデータベースをmysqlに指定して雛形を作成している(デフォルトではsqlite)
$ rails new mybbs -d mysql (省略) $ cd mybbs
作成したrailsアプリケーションの雛形を元に、データベースを作成する。アプリケーション名(mybbs)を元に、development用とtest用の2つのデータベースが作成される。本記事ではテストを対象としないので、mybbs_developmentデータベースを基本的に使用する。
$ rake db:create Created database 'mybbs_development' Created database 'mybbs_test'
実装(トピック編)
本項では、複数の書き込みを束ねる「トピック」に関する実装を行う
トピックモデルを作成
ここでは、rails generateコマンドを用いて、topicモデルを作成する。
topicモデルに対応づいたtopicsテーブルに必要な属性は以下の通り。
* id
* title
* created_at
* updated_at
id,created_at,updated_atは、自動生成してくれるため、ここで明示的に指定する必要があるのはtitleだけなので、以下のようなコマンドでtopicモデルを作成する。
$ rails generate model topic title:string Running via Spring preloader in process 1142 invoke active_record create db/migrate/20170505141519_create_topics.rb create app/models/topic.rb invoke test_unit create test/models/topic_test.rb create test/fixtures/topics.yml
すると、以下のマイグレーションファイル(テーブルを作成するスクリプト)が生成されるので
class CreateTopics < ActiveRecord::Migration[5.1] def change create_table :topics do |t| t.string :title t.timestamps end end end
以下のコマンドでマイグレーション(テーブル作成)実行
$ rake db:migrate == 20170505141519 CreateTopics: migrating ===================================== -- create_table(:topics) -> 0.1048s == 20170505141519 CreateTopics: migrated (0.1050s) ============================
データベース内にtopicsテーブルが作成されていることを確認
mysql> show columns from topics; +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ | Field | Type | Null | Key | Default | Extra | +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ | id | bigint(20) | NO | PRI | NULL | auto_increment | | title | varchar(255) | YES | | NULL | | | created_at | datetime | NO | | NULL | | | updated_at | datetime | NO | | NULL | | +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ 4 rows in set (0.00 sec)
動作確認用Topicsレコードの作成
Railsでは、console機能を用いてCLI上でRailsアプリケーションに対するスクリプトを行うことができる。ここでは作成したTopicsモデルを用いて、console上でテストデータを登録する
$ rails console Running via Spring preloader in process 1312 Loading development environment (Rails 5.1.0) irb(main):001:0> Topic.create(:title => 'プロ野球について') => #<Topic id: 2, title: "プロ野球について", created_at: "2017-05-05 14:27:31", updated_at: "2017-05-05 14:27:31"> irb(main):002:0> Topic.create(:title => 'ラーメンについて') => #<Topic id: 3, title: "ラーメンについて", created_at: "2017-05-05 14:27:49", updated_at: "2017-05-05 14:27:49"> irb(main):003:0> Topic.create(:title => 'プログラミングについて') => #<Topic id: 4, title: "プログラミングについて", created_at: "2017-05-05 14:27:54", updated_at: "2017-05-05 14:27:54">
テーブルにレコードが追加されていることを確認
mysql> select * from topics; +----+-----------------------------------+---------------------+---------------------+ | id | title | created_at | updated_at | +----+-----------------------------------+---------------------+---------------------+ | 2 | プロ野球について | 2017-05-05 14:27:31 | 2017-05-05 14:27:31 | | 3 | ラーメンについて | 2017-05-05 14:27:49 | 2017-05-05 14:27:49 | | 4 | プログラミングについて | 2017-05-05 14:27:54 | 2017-05-05 14:27:54 | +----+-----------------------------------+---------------------+---------------------+ 3 rows in set (0.00 sec)
トピックのコントローラとビューを作成
同様にトピック用のビューとコントローラを作成する。トピックを一覧するページ(index)と、トピックの詳細を表示するページ(show)の2つが欲しいので、以下のコマンドを実行する。
$ rails generate controller topics index show (省略)
上記コマンドを実行することで、トピック用のコントローラ/ビュー及びルーティングの設定が作成される。
自動で生成されたルーティングだけだと少し足りないので、db/routes.rbに以下のように記述する。
Rails.application.routes.draw do get 'topics/index' get 'topics/show/:id' => 'topics#show', as: :topics_show end
上記の例だと、’topics/show/:id’へのアクセスは、tpicsコントローラのshowメソッドが受け取る。このルーティングに対して、tpics_showという識別子を付与することで、プログラムからルーティングを特定することができる。
トピック一覧を画面に表示する機能を実装
実装の第一段階として、”/topics/index”アクセス時に、データベースに登録されているトピックの一覧を画面上に表示する。
コントローラの設定
/topics/indexアクセスは、topics_controllerのindexメソッドで受け取るので、そこでトピックの一覧をDBから取得し、ビューに受け渡す。
Tpic.allは、topicsテーブルの全ての行を取得する。
class TopicsController < ApplicationController def index @topics = Topic.all end end
ビューの設定
railsでは、標準でテンプレートエンジンとしてERBを採用している。そのため、以下のようにHTML内でRubyスクリプトを挿入することができるので、コントローラから受け取った@topicsの数だけ、トピックのタイトルを表示している。
link_toは、railsのヘルパーメソッドで、aタグを生成してくれる。
<h1>トピック一覧</h1> <ul> <% @topics.each do |topic| %> <li><%= link_to topic.title, topics_show_path(topic.id) %></li> <% end %> </ul>
動作確認
以上より、/topics/indexにアクセスした際の画面が以下の通り。動作確認用に登録したトピックの一覧が画面に表示されていることが確認できる。
トピックを新規登録する機能を実装
本項では、トピックの新規登録機能を実装する。新規登録用のフォームはトピック一覧画面の一番下に設置し、そこからタイトルを入力して登録できるようにする。
ルーティングの追加
新規登録用フォームから、’tpics/create’に対してPOSTすることで新規登録を実行できるようにしたいので、ルーティングに以下を追加する
post 'topics/create' => 'topics#create'
コントローラの設定
新規登録用フォームは、トピック一覧ページに表示するため、topicコントローラのindexメソッドにて、@newTopicを生成する。これは、後述するform_forメソッドで必要になるので、ここでは割愛する。
def index @topics = Topic.all @newTopic = Topic.new end
また、createメソッドは、新規登録用フォームからPOSTされたデータを受け取るので、ここでPOSTデータを元に新たにtopicsレコードを生成する。生成後は、トピック一覧画面にリダイレクトする。
def create @topic = Topic.new(params[:topic].permit(:title)) @topic.save redirect_to topics_index_path end
ビューの設定
ビューでは、railsのヘルパーメソッドである、form_forメソッドを用いてフォームを自動生成する。
form_forでは、formが登録する対象のモデル(ここでは@newTopic)を指定することで、良い感じのフォームを作成してくれる。
<h1>トピック新規登録</h1> <%= form_for @newTopic, :url => {:action => 'create'} do |f| %> <%= f.text_field :title %> <%= f.submit %> <% end %>
動作確認
トピックを削除する機能を実装
トピックの削除は、トピック一覧のトピック名の横に「削除」というリンクを作成し、それをクリックすると”topics/delete/:id”にDELETEリクエストを送信するようにする。
ルーティングの追加
まず、topics/delete/:idにdeleteリクエスト送信時に、topicsコントローラのdeleteメソッドが受け取るようにルーティングを追加する
delete 'topics/delete/:id' => 'topics#delete', as: :topic_delete
コントローラの設定
topicsコントローラでは、削除リクエストを受け取った際に、該当するトピックを削除する。削除後、トピック一覧画面にリダイレクトする def delete @topic = Topic.find(params[:id]) @topic.destroy redirect_to topics_index_path end
ビューの設定
ビューには、トピックごとに以下の削除リンクが表示されるように追記する。confirmは、リンククリック時に通知されるconfirmで、「OK」をクリックした場合にのみリンクが実行される。
<%= link_to '[削除]', topic_delete_path(topic.id), method: :delete, data: {confirm: "削除してもよろしいですか?"} %>
動作確認
以下のように、「削除」リンクをクリックすると、確認ダイアログが表示され、「OK」をクリックするとトピックが削除されたことが確認できる
実装(書き込み編)
本項では、トピックごとに0件以上存在する「書き込み(post)」について実装を行う。トピック(topic)の実装と重複する内容が多いので、サクッと流していく
書き込みモデルの作成
まずはトピック同様に、postのモデルを作成する。postは、投稿者名(name)と、本文(body)と、トピック番号(topic_id)が必要になる。以下のtopic:referencesのように指定すると、topicテーブルに外部キー制約を持つtpic_id列が生成される。
$ rails generate model Post name body:text topic:references Running via Spring preloader in process 2470 invoke active_record create db/migrate/20170505154158_create_posts.rb create app/models/post.rb invoke test_unit create test/models/post_test.rb create test/fixtures/posts.yml
マイグレーション実行
$ rake db:migrate == 20170505154158 CreatePosts: migrating ====================================== -- create_table(:posts) -> 0.1274s == 20170505154158 CreatePosts: migrated (0.1277s) =============================
postsテーブルが作成されたことが確認できる
mysql> show columns from posts; +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ | Field | Type | Null | Key | Default | Extra | +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ | id | bigint(20) | NO | PRI | NULL | auto_increment | | name | varchar(255) | YES | | NULL | | | body | text | YES | | NULL | | | topic_id | bigint(20) | YES | MUL | NULL | | | created_at | datetime | NO | | NULL | | | updated_at | datetime | NO | | NULL | | +------------+--------------+------+-----+---------+----------------+ 6 rows in set (0.00 sec)
動作確認用のPostsレコードを作成
トピックと同様に動作確認用のPostsレコードを、console上で作成する。内容が重複しているので結果のみ以下に示す
mysql> select * from posts; +----+-----------+--------------------------------------------------------------+----------+---------------------+---------------------+ | id | name | body | topic_id | created_at | updated_at | +----+-----------+--------------------------------------------------------------+----------+---------------------+---------------------+ | 1 | ササキ | プロ野球について一緒に語りましょう! | 2 | 2017-05-05 15:49:29 | 2017-05-05 15:49:29 | | 2 | サトウ | オススメのラーメン屋など教え合いましょう | 3 | 2017-05-05 15:49:52 | 2017-05-05 15:49:52 | | 3 | ヤマダ | 皆さんの得意な言語はなんですか? | 4 | 2017-05-05 15:50:11 | 2017-05-05 15:50:11 | +----+-----------+--------------------------------------------------------------+----------+---------------------+---------------------+ 3 rows in set (0.00 sec)
書き込みコントローラ/ビューの作成
$ rails generate controller Post Running via Spring preloader in process 2508 create app/controllers/post_controller.rb invoke erb create app/views/post invoke test_unit create test/controllers/post_controller_test.rb invoke helper create app/helpers/post_helper.rb invoke test_unit invoke assets invoke coffee create app/assets/javascripts/post.coffee invoke scss create app/assets/stylesheets/post.scss
書き込み一覧を表示する機能を実装
“/topics/show/:id” にアクセスすることで、該当のトピックに関する書き込み一覧を表示させる
コントローラの設定
“/topics/show/:id”は、topicコントローラのshowメソッドにルーティンぎしているので、showメソッドにて、以下のようにTopicモデルと対応する書き込み一覧を取得してビューに引き渡す
def show @topic = Topic.find(params[:id]) @posts = Post.where(topic_id: params[:id]) end
ビューの設定
ビューでは、トピックのタイトルと合わせて、コントローラから受け取った書き込み一覧を表示する
<h1><%= @topic.title %></h1> <% @posts.each_with_index do |post , idx| %> <p> <%= idx + 1 %>. <%= post.name %> : <%= post.body %> </p> <% end %>
動作確認
新規書き込みを登録する機能を実装
新規書き込みの登録は、書き込み一覧ページの一番下に設置する新規投稿フォームを用いて登録する
ルーティングの追加
新規書き込み登録のリクエストは、’posts/create’にPOSTし、postコントローラのcreateメソッドが受け取るようにしたいので、以下のようにルーティングを追加する
post 'posts/create' => 'post#create', as: :post_create
コントローラの設定
まず、トピックの新規登録と同様に、書き込み一覧画面でform_forメソッドを使うために、topicコントローラのshowメソッドにて、新しいPostモデルを生成しておく
def show @topic = Topic.find(params[:id]) @newpost = Post.new(:topic_id => params[:id]) #ここを追加 @posts = Post.where(topic_id: params[:id]) end
postコントローラのcreateメソッドには、新規書き込みの内容がPOSTされるので、postsレコードを生成して書き込み一覧画面にリダイレクトする
class PostController < ApplicationController def create @post = Post.new(params[:post].permit(:topic_id, :name, :body)) @post.save redirect_to topics_show_path(params[:post]['topic_id']) end end
ビューの設定
書き込み一覧画面のビューに、以下を追加する。トピックの追加と同様にform_forメソッドを用いてformを自動生成する。
<h3>新規書き込み</h3> <%= form_for @newpost, :url => post_create_path do |f| %> <p>お名前</p> <p><%= f.text_field :name %></p> <p>本文</p> <p><%= f.text_area :body %></p> <%= f.hidden_field :topic_id %> <%= f.submit %> <% end %>
動作確認
以下のように、新規書き込み登録フォームを用いて書き込みを追加できるようになったことが確認できる
まとめ
所感
- 初めてRailsで1からアプリケーションを作ったが、想像以上に何でもフレームワーク側でやってくれて驚き
- 元々触れたことがあったLaravelと似ている部分が多かったので、適応しやすかった
- テーブル間の関連付けはもっとフレームワークの機能で出来た気がする(トピック削除時に自動で対応する書き込みを削除したり、トピック取得時に自動で書き込み一覧を取得したり)
- 命名などの制約が非常に厳しいが、それに従うことで色々自動化出来る上、定まったルールの元で開発できるのが良い
- ネット上に情報が膨大にあるので、他のフレームワークよりも遥かにググりやすい
その他
本記事で作成したRailsアプリケーションは、以下のリポジトリで公開している。記事内で作成したコードから微妙に改良したりしているので、記事と内容が合致しない部分もある。
https://github.com/Sa2Knight/rails-bbs